これまで耳鼻咽喉科においても耳鳴りは敬遠されやすい疾患でした。
その理由について少し述べておきたいと思います。
理由1:原因の診断が困難
今までは耳鳴の診断方法が確立されていなかったことが最も大きな原因です。
特に自覚的な耳鳴りは他人には聞こえませんし、
検査をしてもどの程度の音が鳴っているのか?
どの程度の苦痛を感じているのか?は客観的な数値にはできません。
よってご本人の主観に頼るほかなく、そのために診断が難しかったのです。

ただし、最近では耳鳴りは耳の病気ではなく「脳の適応反応である」
という説が有力となり、それに基づいて治療を行うことで良好な治療成
績を上げ始めています。。
理由2:根本的な治療薬がない
耳鳴りの治療薬といえば、根本的に耳鳴りを原因から消失させる、というものは未だ存在せず、血流を良くしたり、ビタミンを補給したり、あるいは精神の安定をサポートしたり、といったいずれも補助的なものが主流です。
根本的な治療薬が無いのは、耳鳴りが「脳の適応反応(より良く聞こえるように頑張ろうとしている)」によって生じるものだからです。
耳鳴りそのものが病的なのではなく、脳にとっては正常な反応(脳の主である本人からすると、余計なお世話によって耳鳴りとして聴こえていますが。)なのです。
それを薬で抑えることが理にかなっているとはいえません。