大阪 堺市 耳鼻咽喉科(耳鼻科) 原田耳鼻咽喉科 JR鳳駅徒歩3分

院長のコラム

薬の話

 薬というと治療における主役のように皆さんは勘違いされているのではないでしょうか。病気の治療に用いられていることから体にいいものと思われている方も多いことでしょう。確かに滋養強壮剤もありますが普段医者にかかって処方される薬物のほとんどは、本来毒性を持っています。

「毒にも薬にもならない。」という言葉があるように薬は本来毒であるから使い方によっては、有益な作用をもたらすこともあり、副作用を起こしたりもするのです。「毒を持って毒を制す。」という言葉どおり体にある有害物質や有害事象を無毒化したり、回避したりするのです。よって必要もないのに薬は服用すべきでなく、また必要な場合も最小限に済ませたいものです。

現代医学における西洋薬は、代謝経路の化学物質の一部をピンポイントに阻害するものが多いようです。よって切れ味はいいものが多いのですが、全体の生命の営みからすると代謝バランスを崩すことが懸念され長期に使用された場合は、何が起こるかわかりません。そのあたりを踏まえたうえでできるだけ薬物が不要になるようにする努力は怠るべきではありません。


 薬には病気の原因に対して直接作用(原因療法)する薬剤と、病気の症状を軽減する(対症療法)薬剤に分かれます。また治癒を促進する薬剤もあります。症状を軽減するだけで疾患自体を治癒の方向に向ける場合もあります。原因療法の薬剤の代表は、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤などです。抗ウィルス剤は今のところインフルエンザとヘルペスウィルスに対してのみあります。病原体自身を直接たたくわけですから感染症は薬剤で治るはずと思われがちですが原因が耐性病原体(薬剤が効かない)であったり、病原体を薬剤で減らしても体の抵抗力が低下していたりすると感染症は治りません。

そのほかの薬剤はほとんど対症療法の薬剤です。耳鼻科でよく処方されているものは、鎮痛解熱消炎剤(熱さまし、痛み止め)、消炎酵素剤、抗ヒスタミン剤や抗ロイコトリエン剤に代表される抗アレルギー剤、末梢循環改善剤、ビタミン剤、去痰剤などがあります。

抗アレルギー剤は、アレルギー性鼻炎や気管支喘息に用いられる薬剤です。抗ヒスタミン薬は主に鼻汁を止め抗ロイコトリエン剤は主に鼻閉の改善に用いられます。また抗ロイコトリエン剤は、咳喘息の咳を鎮めます。これらは一時的に症状を鎮める対症療法ですので疾患自体がある程度鎮静するまで続けなければなりません。


 さて、医薬品は使い方さえ間違わなければ、非常にありがたいものです。感染症を治したり、疾患の治癒を促進したり、疾患はそのままでも症状を鎮めることにより生活の質(QOL)を落とさずに生活できたりします。しかし副作用で薬が使えなくなるという問題以外に薬剤は落とし穴があるということを忘れてはなりません。「薬剤の効能に甘えてしまう」という落とし穴です。症状がなくなると、疾患が治ったと勘違いして普段の生活において養生(療養)する努力を怠ってしまうことです。つまり薬が不養生を引き起こすということです。これはまさしく本末転倒であり薬が病気の引き金を引いているということになりかねません。薬をお飲みの皆様、症状が無くとも普段の生活で養生(療養)を決して怠ってはなりません。