大阪 堺市 耳鼻咽喉科(耳鼻科) 原田耳鼻咽喉科 JR鳳駅徒歩3分

院長のコラム

耳掃除について

 耳掃除は必要か? たいていの方は耳がきれいになると何の疑問も無く耳掻きや綿棒による掃除(実はそうではない)をされていることと思います。


 本当にそれで耳がきれいになっていると思われますか?


 そもそも耳垢とは何でしょう。

耳垢に限らず垢とは表皮の角質層が剥がれ落ちたものです。


 耳掻きや綿棒は一体耳に何をしているのでしょうか。本当の意味での掃除とはごみや汚物を取り除いて清潔に保つことです。綿棒や耳掻きは、耳の掃除道具と一般的には信じられておりますが現実は程遠いものです。

 我々耳鼻科医も綿棒を使用しますが、市販のものよりもずっと細いものを使用しています。耳を掃除するには、

第一に汚れの具合や場所をよく観察することが大切です。

第二に耳垢をつまみ出したり吸い出したりする道具が必要です。耳掻きのような掻き出す道具は外耳道に傷をつけるので実は不適当なのです。

第三に道具を合理的に使う技術が必要です。耳をよく観察するには、額帯鏡またはヘッドライトと耳鏡(ラッパ型の道具)が必要です。耳垢を除去するには、耳用摂子(せっし・・ピンセット)あるいは小型の鉗子が、吸引するには吸引機や吸引管が必要です。またそれらを使いこなすには、ある程度トレーニングが必要です。


 つまり本当の耳掃除は、かなり大変な行為です。おいそれとできるものではありません。また我々でも取るのに苦労する方もおられ、仕方なく傷を残したり出血したりすることもまれではありません。そのような場合は、傷の処置や消毒が必要です。


 話を戻しますと耳掻きや綿棒は、見えないところをただ闇雲に引っ掻いているに過ぎません。たまたま取れる場合もありますが取れたのは一部で大部分残っていることもあります。


また剥離した表皮を耳垢だと誤解していることもあります。逆に耳垢を中に押し込んでいることもまれではありません。傷をつけて細菌感染、真菌感染を起し耳漏をきたしていることも良く見られます。


また感染がひどくなると痛みを生じひどくなると顔面が腫れたり頸部が腫れたり高熱を発したりする方もおられます。全身状態が悪く免疫力が低下している場合は、感染が脳にまで及ぶと命を落としかねない悪性外耳道炎という最悪の状態になることもあります。


またしょっちゅう掻いているとこれは慢性外傷ですので、外耳道の皮膚が厚くなりその下の骨も厚くなり外耳道が狭くなっている方も見受けられます。こうなったら元の戻すのに手術が必要となります。また外耳道炎が慢性化してなかなか治らないか治ってもすぐ再発する状態になります。

耳掻きや綿棒で一切傷のついていない、正常な鼓膜の写真です。しかも奥には耳垢は全くありません。
過剰な耳掻きにより、外耳道(耳の穴)の骨が変形を起こし、外耳道を狭めています。
耳掻きによって、外耳道に炎症および出血を起こし、鼓膜にもその血液が付着してしまっています。

 私は、耳掻きや綿棒は逆に耳鼻科医の仕事を作る道具だと解釈しています。お世辞にも耳掻きや綿棒で掻くのは、掃除とはいえません。耳を汚染しているほうが多いでしょう。全く自己満足の世界です。もちろん程度問題で限度を越えない限り疾患を起しませんが、耳掻きの細かい傷口からの感染や異物の混入が痒みを引き起こし、痒みをとるためにさらに掻きむしり、さらに痒みを悪化させまた掻きむしる・・・。

この悪循環が最後に上記のような外耳道炎を引き起こしますので最初から何もしないのが懸命だと思います。


耳掃除は必要ないのかという質問を良く受けますが、健康な耳は、耳垢は自然排泄されるので耳垢の除去は不要です。放置して耳垢が詰まってしまう状態になるのは、一種の疾患ですから耳掻きではなく耳鼻科専門医の耳垢の除去が必要です。


さあ、耳掻きはゴミ箱へ捨てましょう。綿棒は、耳いじり以外の用途に使いましょう。